夏のキャンピングカー利用で最も過酷になるのが、直射日光を浴びた車内の温度環境です。日差しが強い中で車を駐車し、エアコンを稼働させずにいると、わずか30分で車内温度が40度を超えるという検証データがあります。これは、キャンピングカーが密閉性の高い構造であることや、外気熱を吸収しやすい材質が使われていることが大きな要因です。
車内に人がいる状態で気温が40度を超えると、熱中症リスクが一気に高まります。とくに高齢者や小さな子ども、ペットがいる環境では、命の危険すらあるといわれています。医療機関の統計によれば、熱中症で搬送された人のうち、車内での待機や仮眠が原因とされる事例は毎年一定数確認されており、暑さ対策の重要性が問われています。
このような背景から、キャンピングカーでの車中泊には冷房装備が欠かせない存在となっています。冷房装置としてよく比較されるのは、ルーフエアコン、ポータブルエアコン、スポットクーラー、そして窓用エアコンです。その中でも窓用エアコンは、後付けが可能で取り付けの難易度も比較的低く、導入コストも抑えられることから、近年急速に需要が高まっています。
窓用エアコンは、室内機と室外機が一体化した構造を持ち、窓に取り付けて使用します。一般的に家庭用として販売されているものですが、その中から小型で軽量なモデルを選べば、キャンピングカーへの設置も十分可能です。車体に大きな穴を開けず、加工を最小限に抑えられる点も、DIYユーザーにとっては導入の後押しとなっています。
また、キャンピングカーの断熱性や通気性によっても、冷房効果には大きな差が出ます。車内が密閉されている状態で冷房をかけると効率は高まりますが、一方で換気が不十分だと湿度が上昇し、不快感や結露の原因になります。窓用エアコンは外気を取り込む構造を持つモデルもあるため、換気機能を併用できる点で、他の冷房手段に比べて優位性があります。
具体的な数値で見てみると、外気温が35度を超える日に日中の車内温度は以下のように推移します。
時間経過
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車内温度(外気35度想定)
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駐車直後
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約35度
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30分後
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約42〜44度
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60分後
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約45〜47度
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90分以降
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約48度以上
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こうした温度推移は、直射日光が当たる駐車スペースで特に顕著になります。加えて、ダッシュボードやシートが熱を持つことで熱放射が起こり、体感温度が実際の気温よりも高くなるという問題も起こります。